










この記事を読んでほしい人
- 面接で趣味についての回答を考えている人
- 面接で趣味について聞かれたことがある人
- これから面接を控えている人
面接で趣味を聞いてくる企業に入るべきでないと思う理由
結論から言うと、趣味というものは面接者の適正や能力とは全く関係のないことだからです。
つまり、面接者(候補者)の適正や能力を測る場で趣味を尋ねるということは、その目的を達成するために必要のないことなのです。
事実、厚生労働省は「公正な採用選考の基本」というものを示しており、その中で「採用選考の基本的な考え方」というものを提唱しています。
そしてそこには、以下のような記載があります。
採用選考に当たっては
・応募者の基本的人権を尊重すること
・応募者の適性・能力のみを基準として行うこと
の2点を基本的な考え方として実施することが大切です。イ 公正な採用選考を行う基本は
・応募者に広く門戸を開くこと
言いかえれば、雇用条件・採用基準に合った全ての人が応募できる原則を確立すること
・本人のもつ適性・能力以外のことを採用の条件にしないこと
つまり、応募者のもつ適性・能力が求人職種の職務を遂行できるかどうかを基準として採用選考を行うことです。就職の機会均等とは、誰でも自由に自分の適性・能力に応じて職業を選べることですが、このためには、雇用する側が公正な採用選考を行うことが必要です。
以上の内容の中で、趣味を尋ねることは「応募者の適正・能力のみを基準として行うこと」に反していると僕は考えています。
そして、この点についてもう少し詳しく説明していきましょう。
趣味とは他人に判断されるものではない
これは誰もが同意できることだと思いますが、趣味とはその人自身の自由であり、他人から指図を受けたり批判されたりするものではありません。
一方で、「面接で趣味を聞かれたら?〇〇や□□という趣味はアリか?」、「面接で趣味を聞かれたらどう答えるか?」というような情報が巷には溢れています。
つまりそれは、面接において趣味について尋ねられること、そして趣味によって判断されるということが前提となっているわけです。
しかし、それは人の自由を阻害することなのではないかと思うのです。
そして、このことは先ほど挙げた厚生労働省が定める「公正な採用選考の基本」の中に以下のような記載があるのですが、
(3)採用選考時に配慮すべき事項
次のaやbのような適性と能力に関係がない事項を応募用紙等に記載させたり面接で尋ねて把握することや、cを実施することは、就職差別につながるおそれがあります。<a.本人に責任のない事項の把握>
・本籍・出生地に関すること (注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します)
・家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)(注:家族の仕事の有無・職種・勤務先などや家族構成はこれに該当します)
・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
・生活環境・家庭環境などに関すること<b.本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握>
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
以上の中の「思想に関すること」というものが趣味に強く結びつくのではないでしょうか。
というのも、思想とはその人の中にある思いや考えであり、それ自体は他人からとやかく言われるものではありません。
そして趣味というものは、思想から派生したもの、つまりその人の思いや考えが具現化・行動化されたものだと考えられるわけです。
例えば、冒頭に出てきたアイドルの追っかけというもの、ある特定の人物に想いを馳せることから生じる具体的な行動であり、これはその人の思想に基づいていると言えます。
(ちなみにアイドルの追っかけは「尊敬する人物に関すること」にも関係があると言えます。)
このようなことから、趣味は他人に判断されるものではなく、それゆえ尋ねる必要もないと考えるわけです。
そもそもの問題として…
そもそも面接において趣味について尋ねること自体、バカバカしいと僕は思います。
なぜなら、面接という時間が限られた中で本来見るべきは能力や素養です。
しかし他人の趣味からそれらを推し量ることは果たしてできるのでしょうか?
また、面接の場で趣味についての話を拡げるということは、その企業の思考の浅さの裏返しと捉えることもできます。
時間が限られている状況において、相手を推し量るために質問というのはある意味武器だと言えます。
そしてその武器を最大限に活かすためには、相手に行う質問の内容を吟味することが重要です。
しかしその武器である質問の内容が”趣味について”というのは、なんとも弱々しいものです。
したがって、趣味について尋ねるような企業は思考が浅い(思考力に欠ける)ことを暗に意味していると考えられるのではないでしょうか。
一方で、面接者が企業に対して行う質問はものすごく重要な”行為”です。
面接で趣味を聞かれたとしたら?
ここまで「面接で趣味を聞いてくる企業に入るべきでないと思う理由」について話してきましたが、とはいえ面接で趣味を聞かれることは事実あります。
そしてその企業があなたが強く希望する企業であったり、単にあなたの緊張をほぐすため(アイスブレイク)という場合もあるでしょう。
それでは実際に趣味について尋ねられた場合、どのようにして対応してらいいのでしょうか?
もちろんそのような場合、無難に「読書です」や「映画鑑賞です」という回答もありでしょう。
事実、人は無意識のうちに相手の情報に基づいて印象付けをするため、海外旅行が趣味という人に対しては「いけ好かない奴=自分よりも裕福そうなので自己肯定感を傷つけられるため」という印象を持たれてしまうかもしれませんし、面接の合否は印象が決めると言われています。
※これについては「『印象を制す者が面接を制す』面接の合否は9割が印象によって決まる」を参照ください。)
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しかしあくまで僕の考えですが、(他人に話すのが恥ずかしいと思ったとしても)嘘偽りなく自分の趣味をそのまま伝えることです。
※ただし先ほど言ったように、趣味によっては相手の自己肯定感を傷つける恐れがあるため自慢にならないような伝え方をする必要はありますが。
なぜなら、仮にその趣味い対して批判的な反応をされたり、それが原因で見送られたとしても(趣味によって落とされたかは確かめようはありませんが)、結果的にそのような企業には入るべきではないからです。
結局のところ、他人の趣味で甲乙つけてしまうような企業というのは、言うなれば人の思想にケチをつける企業だと言えます。
そしてそれは、差別や偏見というものに対してより厳しい目を向けられる現代社会において、そのような思考の企業はいずれ淘汰されるでしょう。
それゆえ、あえてそのような企業に入ること自体危険なリスクだと僕は考えているわけです。
加えて、趣味を尋ねてしまう企業というのは、先ほど挙げた厚生労働省が示している”採用選考において配慮すべき事項”という点を認識していない、もしくは反していることの表れだと言えます。
つまり、そのような配慮・思慮に欠ける企業に入社することは、果たして良いことなのでしょうか?
配慮や思慮に欠ける会社ほど組織が腐っている可能性が高いものです。
面接は企業側を判断する場でもある
面接というと、どうしても「判断される場」と考えがちです。
しかし、面接とは面接者が企業を判断する場でもあります。
かつては、”圧迫面接”というものが流行った時期がありますが、今となっては圧迫面接を行う企業に応募者が募らなくなってしまいました。
なぜならそれは、面接者が企業を判断した(圧迫面接を行う企業だと公にされてしまった)からです。
つまり、面接においてはあなたも企業を判断する権利があり、むしろそうすべきだということは、頭の片隅に置いておくようにしましょう。
内定をもらっても、安易に内定受諾しないようにしましょう。
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