












JPモルガン・チェースの名経営者ジェイミー・ダイモンは、若い頃シティバンクを放逐された苦い経験を持つ。
上司として慕っていたサンディ・ワイルと対立した末に追い出されたのだ。
DIYチェーンで全米最大手のホームデポを創業したアーサー・ブランクとバーナード・マーカスも、同業のハンディ・ダンをクビになっている。
またアップルの共同創業者スティーブ・ジョブズは、1980年代に社長のジョン・スカリーから会社を追われ、大変な話題になった。
実績が成功を約束しないのは、CEOなどの高い地位だけではないし、またアメリカだけの現象でもない。
著名なコンサルティング会社LECGのCEOマイケル・ジェフリーは、在任期間を通じて赤字続きだったにもかかわらず、まる3年にわたってCEOの座を維持した。
上司がご満悦であれば、仕事の出来不出来はさほど問題ではないということである。逆に上司を不快にさせたら、いくら実績があっても首は危うい。
立派な業績を上げればご機嫌取りなどしなくても自ずと上に行けると考えるのは、多くの人が犯しがちな重大な思い違いの一つである。








この記事を読んでほしい人
- 職場や会社で評価されたいと思っている人
- 正当な評価をされていないと思っている人
- 職場や会社で評価されていると思っている人
成果を出しても評価されない理由
「営業目標を毎回達成してるのにマネージャーに上がれない。」
「売上好調だった商品の企画から開発まで携わったのに何の見返りもない。」
「なぜ自分より成果を出してないあいつが先に昇進するのか分からない。」
会社で仕事をしていて、このようなことを思った人は少なくないのではないでしょうか?
必死に頑張って成果を出して会社に貢献したにも関わらず、任される仕事は変わらず、裁量権は与えられず、むしろ自分と比べて大した成果も出してない同僚が先に昇進するという様なことは日常茶飯事です。
しかし、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
「成果を出しても評価されない」
おかしいと思いますよね?
実はこれには2つの理由があるのです。
それがこちらです。
印象
場所
会社における評価とは、この「印象」と「場所」によって左右されるのです。
つまり、この2つのポイントを押さえておかないことには、仕事で成果を出したとしても真っ当な評価をされる可能性は低くなるといえます。
それでは、それぞれについて詳しく解説していきます。
こんなこともありませんか?
印象
評価の半分以上は、「印象」によって左右されると言っても過言ではありません。
例えばロンドン大学ユニバーシティカレッジの論文によると、謙虚な人ほど仕事ができるように見え(能力が高く見える)、謙虚な人は能力が同じ人と比べても1.2倍~1.3倍も能力が高い印象を受けるそうです。
人が人を評する場合、相手の実績以上に相手から受ける印象に頼るのです。
では、その印象とはどのようにして生まれるのでしょうか?
そこには”第一印象”と”バイアス”が大きく関わってきます。
性格を変えることで、他人から持たれている印象とバイアスから解放されるかもしれません。
第一印象
第一印象とは、人が初めて相手に印象を抱くことです。
そして評価とは、第一印象によって方向性が決まります。
社会心理学者のナリーニ・エムバディとロバート・ローゼンタールは、臨床心理学・社会心理学にまたがる幅広い分野で、印象の妥当性を調べるメタ分析を行った。
その結果、5分にも満たない短い時間のふるまいに対する判断が、その後の人物評価とほぼ一致していることがわかった。
しかも30秒以下の判断と、5分ほど観察した後の判断とはさほど変わらないという。
また、教授の無音声の動画を学生に30秒ほど見せて評価させ、その後学期末に講座の評価をさせる実証的研究を行ったところ、両者はみごとに一致した。
第一印象が長続きする現象、言い換えれば、先に提示された情報が優先される現象は、4つのプロセスで説明できるという。
1.時間の経過とともに注意力が低下する
2.情報の選択的取捨。第一印象が定まってしまうと、それと一致しない情報を無視しがちになる
3.第一印象の実現行動。自分が抱いた第一印象が正しくなるような行動を自らとる
4.偏向的な同化作用。人間は、後から受け取る情報を第一印象と一致するように捻じ曲げて解釈する傾向がある
このことから言えるのは、相手(上司)が抱いた第一印象というのが、後々も記憶に定着しており、成果云々にかかわらず、初めて抱かれた印象=評価となってしまうということです。
加えて、第一印象というものが厄介なのは、公平なものではないということです。
”ハロー効果”を耳にしたことはあるかと思いますが、この効果によって「評価は際立った一つの特徴によって決まってしまう」のです。
第一次世界大戦中、アメリカの心理学者エドワード・ソーンダイクは、陸軍将校が、知性や体格、リーダーシップ、性格など様々ば面から部下をどのように評価するか調べました。
その結果、優秀と思われている部下は、ほぼ全ての項目で評価が高かった一方、そう思われていない部下は、どの項目も平均以下だっだのです。
普通に考えれば、全てにおいて優れていたり、全てにおいて劣っているということはありません。
しかしこのハロー効果のように、他人の印象というのは、ある一点によって強調されたものにより、形づくられてしまうのです。
そしてそれが第一印象となり、後々引きずられてしまうことになるのです。
そうなると、いくら成果を出したとしても、第一印象で抱かれたものが評価となってしまい、すなわち正当な評価には至らないのです。
「印象」とは社内だけでなく、面接など社外においてもとても重要です。
バイアス
印象というものと同様に、バイアスも評価をゆがめてしまいます。
バイアスとは、「物事の見方が偏る=偏見」のことです。
ほとんどの人は何かを評価する際、無意識にバイアスを掛けてしまっています。
そしてこのバイアスが厄介なのは、当事者は全く気づかず、他人から指摘されたとしてもなかなか抜け出せないということです。
例えば、先ほど第一印象は記憶に定着してしまうと話しましたが、これはバイアスによる作用も影響しています。
それは「確証バイアス」といって、人は自分のイメージや認識を無意識的に守ろうとします。
上司から第一印象で「ボーっとしている」と思われたとすると、それを挽回するのはなかなか難しいのです。
※これを初頭効果と言い、最初に与えられた情報が後の情報に影響を及ぼす現象です。
それを証明するこんな実験があります。
30問の数学テストを2名にさせ、Aは15問中14問正解し、Bは15問中6問だけ正解した。
次にAは15問中6問正解し、Bは15問中14問正解した(成績は同じ)という動画を被験者に見せた。
その結果、ほとんどの人はAを数学的能力が高いと認識した(数学教師が行っても同様の結果だった)。
この実験が示すように、かなり短時間でもバイアスが働いてしまうのです。
また、「潜在可能性バイアス」というものもあります。
これは、スタンフォード大学とハーバード・ビジネス・スクールの研究によって判明したもので、人は実績よりも可能性に魅力を感じ、有能に見えるそうです。
これを証明した実験もあります。
参加者を集めてNBAのマネジャー役になり、ある選手と契約するか否かを2パターンに分けて判断してもらった。
(1)過去5年の実績を伝えられた
(2)今後の可能性を伝えられた
この結果、(2)の方が(1)よりも100万ドル多い金額を提示され、かつ活躍の可能性を高く見積もった。
参照 No One Understands You and What to Do About It - Heidi Grant Halvorson(著)
このことからも、人は実績と評価を結びつけていないということです。
人の印象とはその人の”性格”が表れるものです。あなたは自分の性格をちゃんと把握できていますか?
場所
会社という組織において、自分がいる場所も評価に影響を与えます。
これはどういうことかというと、社内でより重要な組織(主力事業や大きな影響を持つ部門)に属しているほど評価されやすい一方、そうではない組織にいる場合はなかなか評価されずらいということです。
このことは、以下のことからも証明されています。
ある公益企業のマネジャー338名を対象にした調査でも、最初に配属された部門の勢力がその後の昇給ペースに影響をおよぼすことが報告されている。
発言権の強い部門からスタートした人は、早く昇給するのである。
この調査では、業務、販売、カスタマーサービスなど主要部門出身のマネジャーは、その後の異動でもやはり主要部門に配属される傾向があることもわかった。
また興味深いのは、このことは社内評価だけに限らず、社外、つまり外部評価を受ける場合にも影響するということです。
こちらをご覧ください。
多くのヘッドハンターは、CEOを含む経営幹部候補を探すとき、事業部のトップを務めていた人材に注目する。
そして他の条件が同じ場合には、部門の規模や取扱高が大きい方を選ぶという。
ヘイ・システムなど給与等級の決定に使われる職務分析システムでは、部下の数や予算裁量権などを職務責任の大小を示す基準として用いる。
このように、リソースをどの程度コントロールできるかは、上に行くための重要な条件となる。
そして、この場所の重要性を認識していたのが、第37代アメリカ大横領リチャード・ニクソンの下で、国家安全保障問題担当大統領補佐官として辣腕を振るっていたのがヘンリー・キッシンジャーです。
彼は、組織において”どこにいるべきか”をわきまえていたため、組織内において極めて順調に評価を得ていきました。
中心的位置づけの重要性を理解している人は、計画的にそれをめざす。
たとえばニクソン政権で国家安全保障問題担当補佐官になったヘンリー・キッシンジャーがそうだ。
彼は、外交政策に関するコミュニケーションはすべて自分を経由するように仕向けた。
そのための布石として、若く有能で派閥に属さない外交政策アナリストを国家安全保障会議(NSC)のスタッフに指名する。
この指名は有能な若手を抜染するものとして賞賛され、キッシンジャーのイメージアップに役立った。
ところがニクソンの側近は若造と話すのを嫌がったため、まんまとキッシンジャーは、NSCとホワイトハウスの橋渡しをする中心人物となったのである。
このように、組織におけるポジショニング(いるべき場所)も評価を大きく左右するということが分かったのではないでしょうか。
組織のメカニズムを把握しておくことは、サラリーマンにとっては重要事項です。
また、仮に影響力を持つ組織に属していたとしても、上司が変わってしまうことで正当な評価を得られなくなってしまうというリスクも存在します。
そのことを証明しているのが、以下の研究です。
社会心理学者のデービッド・スクールマンは、事務職354人の人事評価結果を調査した。
人事評価を担当した上司との関係性に基づいて以下のように職員を分類した。
(1)上司が着任する前からその職場で働いていた職員
(2)上司が直接関与した審査において上司の推奨によって採用・昇進した職員
(3)上司が推奨しなかったにもかかわらず他の人の推奨で採用・昇進した職員
以上のように分類した上で、スクールマンは、採用・昇進審査への関与の有無はその後の人事評価にどう影響するかを調べた。
結果は、(2)の職員には(1)よりも高い評価を与えていた。
そして、(3)については、(2)はもちろん(1)よりも評価が低かった。
1980年に経済学者のジェームズ・メドフとキャサリン・エイブラハムは、企業の給与は実績よりも年齢及び在籍期間との相関性が強いと指摘した。
極めて不公平ではありますが、組織においてはこのようなことが起こるのです。
ちなみに「錯覚資産」は評価を得るために効果的なツールになります。
評価を得るために効果的な方法
ここまで成果を出しても評価されない理由について解説してきました。
では、どうしたら評価されるものなのでしょうか?
やはり「印象」と「場所」が評価されるためのポイントになります。
ただし「場所」に関しては、いかに影響力を持つ組織にいるか鍵であり、配属を自分でコントロールすることは難しいでしょう。
そのため、いかに評価者に対しての印象を良くするか、つまり上司に対して印象コントロールを行うことが大事なのです。
まず優秀か否か、成果を出しているか否かに関わらず、上司に嫌われないようにすることが先決です。
以前、『「上司への対策」気に入られるにはこの3つのテクニックが大事【解説】』でも伝えたように、いくら優秀・有能であっても、上司から「冷淡」だと感じられてしまうと評価されないどころか、虐げられてしまう可能性が高くなります。
そして、上司に対して好印象を与えるためには、「見え方」と「根回し」が大事なポイントです。
というのも、上司が気に入る部下というのは「行動的・積極的に見える部下」だそうです。
これは当たり前ですが、結局のことろ、よく働く部下(残業する部下)を評価しがちなのです。
また、上司に対してアドバイスを求めることも、上司からの印象を良くするということが分かっています。
上司に気に入られている人というのは、どのように見え方を意識していると思いますか?
一方、根回しとなると嫌がる人が多いですが、これはあくまで上司から好印象を得るための戦略だと捉えれば抵抗感は薄れるはずです。
特に若手だと社内政治に足を突っ込みたくないとは思いますが、会社勤めをする身にとって社内政治から離れることはすなわち、出世を諦めることと同義です。
だからこそ評価されたいのであれば、しっかり対策することをオススメします。
根回しができるようになると、会社の居心地は抜群に良くなるはずです。
ただし、上司に好かれようとして何でもかんでも上司に合わせてはいけません。
例えば、上司からお酒の席で誰かの愚痴や陰口をされることがあるかもしれません。
そのような時は一緒になって愚痴や陰口を言うのではなく、「課長も大変ですね」という感じで上司への共感を表すようにしましょう。
なぜなら、上司の悪口に乗っかってしまうと「コイツは他でも俺の評判を落としているかもしれないな」と思われてしまい、逆に評価を落とすことになってしまいます。
実際、僕は過去にかまをかけてくるような上司もいましたので、くれぐれも注意しましょう。
また、長い社会人人生においては、誰からも評価どころか、見向きもされないような時もあります。
しかしそこで、自ら評価されることを諦めてしまってはいけません。
いわゆる不遇の時代には状況に合わせた過ごし方をし、改めて評価されるまでの日を待ちましょう。
評価は”公平・平等ではない”と心得ておく
会社における評価とは正当に行われるものではありません。
多くの人が自分の利権や企みのために動くのが会社組織であるため、そこに属する人は誰でも歪んだ評価にさらされます。
この事実はどうしたって変わりません。
しかし、会社における評価は公平・平等ではないということを心得、その中で効果的な対処をしさえすれば、自分の実力や実績以上に有利な評価を得ることも可能だということです。
正々堂々と臨むことは素晴らしいことではありますが、そううまくいかないのがサラリーマン社会なのです。
評価を得たいのであれば、評価される場所に移るのが賢明な判断かもしれません。
転職をする場合、多くの人は転職サイトで求人を探します。
ただし自分一人だと、多くの求人をの中から自分の能力や経験、条件に見合う求人を探し、さらに面接日程の調整や労働条件、給与の交渉までを行うのはとても時間と労力が掛かります。
一方で転職エージェントに任せれば、数十~数百社もの求人からあなたに最適な求人を紹介してくれます。
また、応募書類の添削、面接日程の調整、労働条件や給与の交渉と全てを行ってくれます。
そのため、普段仕事で忙しくてもスムーズに転職活動に励めます。
ただ、ひとえに転職エージェントといっても、「求人数が多い」「新卒・第二新卒向け求人が多い」「高年収の求人を扱っている」「専門職系の求人を扱っている」「地方求人が多い」など、各転職エージェントによって特徴や強みはバラバラです。
したがって、これらを理解した上で”自分の状況に合った”転職エージェントを活用することで、満足のいく転職を叶えることができます。